突然終わりを迎えた恋、姉妹の運命は?

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松風

本日は、能『松風』のキットをピックアップ!

突然終わりを迎えた姉妹の恋。
押さえきれない思いを秘めた彼女達は・・・。


――ある秋の夕暮れのこと。
諸国を旅する僧は須磨の浦を訪れます。
僧は、磯辺にいわくありげな松を見つけ、土地の者に尋ねました。

話によると、その松は「松風」「村雨」という名を持つ二人の若い海人の姉妹の墓標であるとのことでした。
僧は経を上げて姉妹を弔いました。

その日の宿を取ろうとしたところ、若く美しい女が二人帰ってきました。
彼は二人に一夜の宿を乞い、中に入ってからこの地にゆかりのある在原行平の詠んだ和歌を引き、先ほど弔った姉妹の話をしました。

すると、女達は急に泣き出してしまいます。

二人は、行平から寵愛を受けた「松風」と「村雨」の亡霊であることを明かし、行平の思い出と彼の死で終わった恋を語りました。

姉の松風は、行平の形見の狩衣と取り帽子を身につけ、恋の思い出に浸るのですが、やがて思いが溢れて半狂乱に!
松を行平だと思い込んで、縋り付こうとします。
村雨はそれをなだめるのですが、松風は狂おしく舞い進みます。

松風は、妄執に悩む身の供養を僧に頼み、二人は姿を消してしまうのでした・・・。

こちらは松風の舞い姿をモチーフにした人形キット『松風』。
行平への熱い思いを胸に、狂おしく舞踊ります!

金糸を贅沢にあしらった淡い水色の狩衣は上品で、高貴な男性の持ち物であったことが伺えます。

立派な鳥帽子を被っていても、そのお顔は女性のもの。
ふっくらとしたお顔は切なさを秘めながらも、昔を思い出して優しく微笑んでいます。

僧に供養してもらった二人が行平と再会することを願いつつ、能『松風』の世界観を楽しみながら木目込んでみてください。