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今回もまた、小野小町の歌を紹介します。
「思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ
夢と知りせば 覚めざらましを」
（古今和歌集）
あの人のことを恋しく思いながら寝たので、
あの人が見えたのだろうか、
夢だと知っていれば目覚めずにいたのに。
夢から目覚めてしまえば、「あの人」に会えなくなってしまう、という片思いの歌に見えますね。
けれども、夢に恋しい人が出てくるのは、その人も、夢をみている人のことが好きだから。
だから夢に出てきてくれる、という考え方もあったようです。
そう考えると、
「あの人のことを恋しく思いながら寝たのであの人が見えたのだろうか、いや違う、あの人も私のことが好きであるから夢に出てきてくれたのだ。」
という読み方ができます。
あの人も私のことが好きだから夢に出てきてくれたという考え方はとても斬新ですよね。
ちょっと怖い考え方だとは思いますが…。