木目込み人形『高砂』

高砂人形は、夫婦円満・長寿の人形として有名です。
結納品などで贈られたりします。

高砂は、能の作品ひとつです。

今日はそのストーリーをお話しましょう。

あるとき、九州阿蘇宮の神官が都へ行く途中で、播磨の国(現在兵庫県の南西部)、高砂の浦へやってきました。
そこには美しい松がありました。

すると松の木陰へ老夫婦がやってきて、周りを掃き清めはじめました。
そこで老人が、高砂の松と住吉の松とは相生の松、離れていても夫婦であるという伝説を語ります。

相生の松とは、ひとつの根元から、雄松と雌松が分かれ出ているものです。
高砂は兵庫県、住吉は大阪府ですから、離れているんですが、それでも相生の松であると言っているわけです。

ここで老夫婦は、自分達は高砂・住吉の松の精である事を打ち明け、小舟に乗り追風をはらんで消えて行きます。

この能は最後には、住吉へ向かった神官の前に住吉明神が現れて舞を踊り、
『千秋楽は民を撫で、萬歳楽には命を延ぶ、相生の松風、
颯々の聲(こえ)ぞ楽しむ、颯々の聲ぞ楽しむ』
と歌い、めでたい結末を迎えます。

高砂人形がほうきと熊手を持っていたのは、松の木陰を掃き清めるためだったんですね。

また、老夫婦は松の精でした。
高松神社には今も相生の松が存在しています。

松は、松科の植物。
茶色の花を咲かせます。
寒い冬に耐え、葉が常に緑なので、長寿の象徴とされています。

厚生労働省が5年ごとに作成している都道府県別生命表。
平成12年の調査で長寿一位に輝いたのは、男性は長野県の78.9歳、女性は沖縄県の86.01歳です。
都道府県別の平均余命も厚生労働省ホームページに載っています。
ちなみに平成12年時に0歳だった男子の全国平均余命は77.71歳です。

これからは、寿命はある程度までは縮んでいくのかもしれません。

興味のある方は、自分たちの代の寿命がだいたいどれ位であるかの一つの基準になると思うのでご覧になってください。