今日は日本のナゾについて考えてみます。
なぜお花見といえば桜なのでしょうか。
日本古来より大切にされてきた花は、梅と橘。
雛人形にもこれらが飾られます。(今では、桜と橘が飾られる雛人形もありますが・・・)
日本人はいつから桜の開花情報をテレビでやるほどに桜に注目し始めたのでしょうか。
代表的な2つの歌集をみてみましょう。
◎万葉集の時代(7世紀後半〜8世紀後半)
万葉集に収められている歌の中の約119首が梅の歌、約43首が桜の歌になります。この時代はまだ梅が主役だったようです。
◎古今和歌集の時代(905年成立)
春の歌134首のうち、大部分が桜について詠んだ歌になっています。この時代にはもう梅から桜に主役交代がされていたようです。
それから時を経てだんだん桜の存在が大きくなっていったのでしょう。
最後に、梅と桜について詠んだ有名な歌を一首ずつ・・・。
学問の神様、菅原道真(845年8月1日〜903年3月31日)
〈流され侍りける時、家の梅の花を見侍りて〉『こちふかば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ』
訳:(左遷され、家を発つ時の歌)東風が吹いたら、匂いを寄こしておくれ、梅の花よ。主がいないからといって春を忘れないでおくれよ。
入道前大政大臣(にゅうどう さきのだじょうだいじん・1171〜1244)西園寺公経のこと。
『花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり』
訳:嵐が花を誘って庭に花びらを散りしき、まるで雪のようだ―――それを見ていると、衰えて去って行くのは花ではなくて我が身ではないかと思うのだ。
梅はよい匂いが、サクラは散ってゆくことが特徴で、それぞれ愛されてきました。
それではまた。